関ヶ原の戦いって人気ないの?

さすがに開設宣言だけで今日を終わらせるのも何ですし、ひと記事おつきあいください。

半藤一利著『名言で楽しむ日本史』(平凡社ライブラリー)を読んでます。
歴史上の様々な有名人が残した名文句と、それに対する半藤さんのコメントをもとに日本の歴史を追っていこうという本です。最近平凡社ライブラリーに入りました。原本は2002年、当時は『この国のことば』というタイトルだったとのこと(あとがきより)
「この世をばわが世とぞ思ふ」「日本国王」など、「名言」というよりは「名文」「名フレーズ」といった感じで、タイトルが若干改悪な気がしてならないのですが。

若干「最近の若いもんは・・・」的なコメントが目につきますが、語り口が面白く、読み物としては十分楽しめてます。

・・・その中で気になったことが一つ。それがタイトルにも書いた「関ヶ原」の戦いについてなのですが。

関ヶ原の戦いは3つの名言を通じて紹介されています(p137-139)。その中のコメントで、こんな一節を見つけました。ちょっと引用してみますと、

「日本人の嫌う”裏切り”ということが勝敗を決したので、歴史の方向を変えてしまったこの合戦は、あまり人気がない」(p137)

とあります。

ツッコミどころはもちろん、関ヶ原の戦いって本当に人気がないですか?ということです。

たとえば司馬遼太郎も「関ヶ原」というタイトルの作品を、文庫上中下にわたる分量で書いています。
またよくある「週刊なんとか」という類の、「創刊号は○○円」という形の売り方をする、突発的に発刊される雑誌でも、戦国系が絡んでくると関ヶ原は比較的早い段階で用いられるイメージがあります。
また、近所の図書館の蔵書検索で「関ヶ原」と検索しても、うじゃうじゃと出てきます。
これだけでも、「人気がない」というのはどうなのかという気がしてしまいます。

個人的には、関ヶ原の戦いは好きです。わたし自身が戦国時代が好きな方であるのもありますが、その中でも関ヶ原の戦いは一つ別格だったりします。
応仁の乱に始まった戦国時代。どこで終わるかにはいろんな見方があると思いますが、関ヶ原の戦いは一つの終止符だとわたしは思います。確かに9月15日の本合戦は1日で終わるという短いものでしたが、それに至るまでの過程には戦国時代のすべての要素が含まれており、戦国の集大成といっても過言ではないかなと考えています。(余談ですが、戦国時代の開始とされる応仁の乱も、東軍対西軍でしたね)

「景気づけはいいが、中身はあまり面白いものではない」(p138)とも書いているあたり、半藤氏個人が関ヶ原の戦いが好きじゃないだけなんじゃないかとも思いますが。